やんちゃ親父の独り言。更新の間隔を適当に空けて、勝手気ままな事を書いているコーヒー好きのブログです。よかったらお付き合いください。

天国と地獄 ☆☆☆☆

天国と地獄 ☆☆☆☆

犯人からの電話

 エド・マクベインの小説は(キングの身代金)、ほんの一部分を借りただけです。誰をさらおうとも脅迫は成り立つというあの思いつき、あれがすばらしい着眼だったので、そこのとこだけもらったんです。誘拐罪というのは日本では実に罪が軽いんですよね。事実、こんな事でもし子供が誘拐されたらどうしようか、という気持ちを多分に持っていたところへ、あれ読んだものだから一気に作りたくなった。

 黒澤明監督のこの映画制作にあたっての原作への思いなのだが、事実ほとんど別物と言って良い出来上がりになった。当時新幹線の無かった時の、東海道線一編成車両全部借り切って9台のカメラを使った撮影。先頭車両から最後尾車両までの同時進行式の一発撮り。カメラが壊れたり、一部演技が早く終わってしまったりと、この列車内の撮影だけでも大変だったらしい。後にこの映画を真似て誘拐が多発することになり、その意味でも大変だったらしい。

 この当時の映画はよほど音響的に整っている映画館意外はモノラルだったと思われるが、スタートして10分位の時に大きな窓を開けるシーンがある。4チャンネルの効果音抜群で、横浜の潮風が入ってくるように、音が画面いっぱいに広がっていくのが分かる。設備の良い所等はそう無かったし、当時映画の音はどれもこれも気にして見てはいなかった。台詞が分かれば良いと言う位の感覚だったと思う。家で観る様になって改めてこんな効果音を録っていた事を気付かされた。

 またストーリー中盤、水に漬けるとにおいを発生し、燃やすとピンクの煙を発生する細工を権藤が自ら買って出て、かばんに施すシーンが出てくる。今は高台の豪邸に住んでいるのだが、いかにも下積みからこつこつ叩き上げた職人だったのだと、昔は犯人と変わらぬ境遇だったことを示すシーンだ。犯人は燃やすことを選択して、モノクロ映画で唯一ピンクの煙が出るシーンだが、カラーフィルムではなくパートカラーで煙にだけ色をつけたものだそうだ。

 製靴会社常務・権藤の元に息子を誘拐したと誘拐犯から電話が入る。しかし誘拐されたのは社用車運転手、青木の一人息子進一だった。誘拐犯はそれでもなお権藤に身代金3000万円を要求してくる。だが権藤には翌日までに5000万円を大阪に送金し、次期株主総会で現経営陣を一掃しようとの魂胆があった。

 身代金を払わなければ進一の命が危ない、大阪への送金をしないと地位も財産もすべてを失うことになる。権藤は葛藤の末、秘書河西の裏切りをきっかけに身代金支払いを決意する。犯人からの特急こだまを利用した意外な受け渡し法の指示により、進一は無事解放されたものの、身代金はすべて奪われ、犯人にも逃げられてしまう。

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