風のガーデン 倉本 聰 ☆☆☆☆
風のガーデン 倉本 聰 ☆☆☆☆
このドラマが作られた時から気にはなっていたのだが、いざ放送の時に一話目を見損なってしまい、全編通してはリアルタイムでは観なかったドラマだ。何度か書いた事なので恐縮するのだが、テレビドラマと称するものは全く観なくなってから久しく、それ程つまらないドラマばかりで溢れ返っている。観てみようと思うきっかけになるのは、新聞広告等に載る宣伝等それに対する評価、脚本家の名前、演出家などを参考に観るか否かを決めている。元々映画好きなので隔て無くこの手のドラマも好きで、作り手側の意気込みも映画とテレビ、然程違わないと思っているのだが。
今回のこのドラマは原作脚本家が倉本聰なので、最初から観る事に決めていたドラマだ。最近量産されているものは予算がないせいか、演出家が悪いのか、はたまた原作脚本がだめなのか観るに及ばずと思うものが多すぎる。その点倉本聰と名前を見ただけで鑑賞したくなるのは、出来の良いドラマがなくその手に飢えているからなのだろう。原作脚本も丁寧に作られ、映像化する方もそれに負けじと力が入ったものだと実感できる。いうなれば大人の鑑賞に耐えうる正統派のドラマと言える。
倉本聰が自ら住む北海道、富良野を舞台に書き下ろした人間ドラマ。中井貴一演ずるすい臓がんに侵され、死を前にした麻酔科医を主人公に、人が最期に帰る場所は家族なのだと描いていく。ロケ地の富良野には2年を掛けて広大なブリティッシュガーデンを造成。約365種類の花が美しく咲き乱れる風景を1年かけて撮影。また俳優陣も季節を追った倉本流のドラマ作りを楽しんでいるかのようだ。物語にのめり込むうちに自然に生と死を考えさせていく、彼一流のドラマ展開はさすがに見ごたえがある。またこのドラマが名優緒形拳の最期の出演作になる。