ローマの休日 ☆☆☆☆
ローマの休日 ☆☆☆☆
インタビューで、思い出の地はどこかと聞かれ、一瞬間を置く様に記者の顔を見て、『ローマです。生涯この地の思い出は大切にしていきたいと思っています。』このオードリー・ヘップバーン最大のヒット映画の決め台詞はやはり、当然のように彼女でなくてはさまにならない。
最初アン王女役に候補に挙がっていたのは、エリザベス・テイラーだったようだ。しかし、クランクイン前に監督が交代して立ち消えになった。オードリー・ヘプバーンでヒットしたから言えるのかもしれないが、比較的アクの強いエリザベス・テイラー向きではなかったように思う。当時のオードリー・ヘプバーンはアメリカでは無名に近い存在だが、ブロードウェイで上演されていた『ジジ』の主役を務めていた。
その演技を見たウィリアム・ワイラー監督がヒロイン起用を決めたといわれている。相手役のグレゴリー・ペックも彼女の才能を認め、新人としては破格の自分と同等のクレジットを与えることに同意したという。二人は新人ヘプバーンの能力を引き出したいが為、真実の口のシーンでは、ヘプバーンに内緒で本当に手が挟まれ、取れてしまう演技をした。そのようなことを知らなかったヘプバーンの演技は自然で、2人を大いに満足させて、ワンテイクでOKがでたという。
ヨーロッパのある王国、その王位継承者であるアン王女は、欧州各国を親善訪問していた。最後の訪問地のローマでも無難に公務をこなしていく王女。だが、彼女はこれまでのハードスケジュールでストレスと疲労が溜まっていた。側近たちに無理を言って困らせ、主治医に鎮静剤を投与されるが、気持ちの高ぶりから逆に目が冴えてしまう。こっそり宿泊先を抜けだし、やがて、薬が効いてベンチで寝入ってしまう王女。そこへ偶然通りかかったアメリカ人の新聞記者ジョーは、彼女を一国の王女であることを知らずに自分のアパートで休ませる事に…。