やんちゃ親父の独り言。更新の間隔を適当に空けて、勝手気ままな事を書いているコーヒー好きのブログです。よかったらお付き合いください。

ヴェニスの商人 ☆☆☆

ヴェニスの商人 ☆☆☆

アル・パチーノ

 ウィリアム・シェイクスピアと言えば、書いたものを読んだ事がなくとも、名前も作品名も何処かで見聞きしているはずで、“夏の夜の夢、終わりよければ全てよし、お気に召すまま、じゃじゃ馬ならし”等々、中世イギリスの作家だ。中には題名からは分からない、ロミオとジュリエットをミュージカルにした“ウェストサイド物語”、日本でも黒澤明の映画でマクベスは“蜘蛛巣城”に、リア王は“乱”にと、世界の映像作家達が好んで取り上げている。当然私が知らないだけで世界を見ればもっと沢山あると思うが。

 小学生の低学年の時に、今となってはハッキリとしないのだが、道徳の時間か、ホームルームの時に先生が本を読んで聞かせてくれた事があった。無実で投獄されたモンテ・クリスト伯を描いた“岩窟王”、パンを盗んだために19年間もの監獄生活を送ることになる、ジャン・ヴァルジャンの“ああ無情(レ・ミゼラブル)”そして肉を1ポンド切り取るというシェイクスピアの“ヴェニスの商人”等だ。今思うと全編を通して読んだ訳ではないと思うが、それぞれに強烈に記憶に残るシーンがあった。

 読み聞かされた作品の中で、子供心に分かった積もりになっていた事を、大人になってからの確認作業で、唯一残っていたのが“ヴェニスの商人”だ。ユダヤの金貸しシャイロックが、アントニオの胸の肉1ポンドを切り取るという、我が幼心にはそこのシーンだけが鮮明に残ったが、原作は喜劇仕立てにしたようだ。映画はシャイロックの置かれた立場、アントニオからの様々な仕打ち、ユダヤ人というだけで生活していくための物心両面の制約、今も耳にするユダヤ人に対する迫害が当時からあったのだ。 

 日々手痛い仕打ちを受け続け恨みを晴らすには、合法的に胸の肉1ポンドを切り取れるチャンスなのだ。裁判では色々な譲歩案が提示されるが、シャイロックはキリスト教徒への恨みこの時と、大金を積まれても譲らない。この事が裁判の逆転を生むが、なぜかとてもシャイロックが気の毒に思われ、今に続くユダヤ人の思いが多少理解できたかとも思う。主演は“ゴッドファザー”にも出ていた、アル・パチーノが強突く張りと悲哀を演じて見事。

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