4チャンネル & 5.1チャンネル
4チャンネル & 5.1チャンネル
このアルバムもやはりアランフェス協奏曲と同じようにアナログ版を所有していたのだが、曲名にもアーチストにもこだわったわけではなく、ただDVDオーディオの5.1チャンネルを聞いてみたかったのだ。オーディオ業界が2チャンネルの先に見ていたのは、4チャンネルだ。当時アナログレコードでどうやって4チャンネルを再現するのか私は興味津々だった。
ビクターなどはディスクリート4チャンネル方式で、独立した音を通常の音の他に、高周波にして同じ溝に刻み込む方式だった。他メーカーはQS4チャンネルと称し、デコーダーを使ってまとめた音を再生のときに四つに分けていたのだが、マトリックス方式、擬似4チャンネルと、スピーカーマトリックスなどと言うものもあった。
私は両方の方式を聞いてみて、どちらも一長一短でチャンネル間の音が完璧に分かれているという印象は無かった。私はイノック ライトのQS(SQもあった)方式のデモンストレーションレコード(未発売)をメーカーより頂いた。未だに所有しているのだが、シンセサイザー音楽で音が私の周りをぐるぐる回る、音が動くと言いたげな奇を衒った印象が強いレコードだった。
それやこれやメーカー間の規格統一の動きもあったようだが、今も昔も変わらないのはメーカー同士の意地の張り合い。消費者のためと表向きは言うのだけれど、収益に密接に関連してくるものだから、消費者はいつも蚊帳の外ではある。前置きが長くなってしまったが、それらの経験を踏まえて、現在の多重チャンネルの音をぜひ確認しておきたかったわけだ。
そのためには何度か聞いて内容を理解している音楽がよいのと、所有しているレコード(CDでは無い)が一致しているのは、イーグルスだけだったのだ。聴いてみて思ったことは音の分離がはっきりしている事。聴きなれた音楽で耳馴染みが良かったから、楽器の位置確認に集中出来た事位で、マスター音源から5チャンネルに落としてあるだけで、奇を衒えとは言わないが、なぜか物足りなさが残った一枚だった。そういうわけでDVDオーディオは未だにこの一枚だけである